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ドクターソルトの塩百科 〜 5.味 〜
どんな塩がおいしいの?   

海水を原料に、天日平釜法などの水分除去法で作られた塩には、塩化ナトリウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウムといった塩類が含まれています。塩の味は、これらの主要な塩類のバランスで決まります。おいしい塩とはズバリ、この5つの塩類のバランスが良い塩なのです。

バランスのとれた中純度塩がおすすめ!

味覚的にいうと、塩類バランスのとれた中純度塩がおすすめです。“塩類バランスがとれた”とは、塩化ナトリウム以外の塩類がおおむね下記の範囲内にあることをいいます(正確には100g中の乾燥重量として)。

硫酸カルシウム
1.5±0.5g
塩化マグネシウム

1.5±0.5g

硫酸マグネシウム
1.5±0.5g
塩化カリウム
0.5±0.2g


塩化ナトリウム以外の塩類は、多ければ良いというものではありません。何よりもバランスが大事なのです。では、どのくらいがちょうど良いバランスかというと、なかなか難しい問題です。上記は日本食用塩研究会の長年の研究と経験によって発見した、塩化ナトリウム以外の塩類が5%前後の、おいしい塩の塩類バランスです。

なお、イオン膜法による塩は、たとえ塩化ナトリウムの純度が低めであっても、少量塩類のバランスがこわされており、味のバランスもまったく異なりますので、ご注意ください(硫酸カルシウムや塩化マグネシウムが少なく、塩化カリウムが異常に多く、硫酸マグネシウムの代わりに塩化カルシウムが含まれている)。


味の見分け方

塩の味は、商品に記載されている表示ではなかなか分かりませんが、栄養表示基準に基づいた成分表示があれば、ある程度の傾向をつかむことはできます。

まず、ナトリウムを見てください。この数値を2.54倍すると塩化ナトリウムになります。たとえば、34g/100gな86g/100g=86%となります。これが塩化ナトリウムの含有率です。もしこの値が98%を超えていれば、塩辛さの強いあまり味わいのない塩と思ってよいでしょう。

次に、もしマグネシウム、カルシウム、カリウムの成分値が記載されていれば、その合計値を参考にします。陰イオン(硫酸イオンと塩化物イオン)の値がないので乱暴な推測になりますが、次の表を目安に大まかな傾向をとらえてください(100g中の乾燥重量として)。


   
合計値
味の傾向
超高純度
250mg未満
単純塩辛味
高純度
200〜1000mg
塩辛味と、やや甘味や旨味
中純度
1000〜2000mg
塩辛味と、甘味と旨味、やや苦味
低純度
2000〜3000mg
塩辛味と、甘味と旨味、かなりの苦味
超低純度
3000mg超過
複雑な塩辛味と、強い苦味やエグ味


なお、イオン膜法による低純度塩は、甘味も旨味も苦味も少なめで、舌にしみるような酸味が強くなります。

ともかく、実際に自分の舌で試してみましょう。注意点は、なめる量を少なくすることと(耳かき1杯くらい)、一度に多くの種類を味見しないことです。また、粒子の大きさや水分によっても味の印象が代わってきますので、1〜2%の塩水にして味見するのがよいでしょう(このとき、水道水はそのまま使わないこと。煮沸するか浄水器を通してカルキを除去すること。塩を溶かすと塩素臭がして味が分かりにくくなるのです)。



代表的な塩類の味

1)塩化ナトリウム:
単純で直線的な塩辛味。塩の味のベースになります。精製塩などの塩化ナトリウムの純度がきわめて高い塩は、他の塩類がほとんど含まれていないため、直線的な塩辛さしか感じられません。

2)硫酸カルシウム:
単体では無味。味覚の対比効果により、塩の味にまろやかな甘さを出します。硫酸カルシウムが多めの塩は、塩辛さの中にもまろやかな甘さが感じられます。

3)塩化マグネシウム:
単体では旨い苦味。味覚の対比効果により、塩の味にまろやかな旨さを出します。塩化マグネシウムが多めの塩は、塩辛さの中にも弱い苦味と、後口にまろやかな旨さが感じられます。

4)硫酸マグネシウム:
単体では深い苦味。味覚の対比効果により、塩味に深いコクを出します。硫酸マグネシウムが多めの塩は、塩辛さの中にも強い苦味と、コクが感じられます。
イオン膜法で作られた塩は、イオン交換膜によって海水のミネラルバランスが破壊されるため、硫酸マグネシウムの代わりに塩化カルシウムが含まれています。塩化カルシウムも強い苦味をもっています。

5)塩化カリウム:
単体では涼しい酸味。味覚の対比効果により、塩味にキレを出します。塩化カリウムが多めの塩は、塩辛さの中にも舌にしみるような酸味が感じられます。
イオン膜法で作られた塩は、イオン交換膜によってカリウムが異常に濃縮されるため、塩化ナトリウム以外の塩類バランスが極端に塩化カリウムに片寄っています。






アサリが喜ぶ塩は?

アサリ貝の砂出しを塩の品質の比較実験に応用できます。ただし、寒いと貝が活動しませんので、実験は夏に行います。

下の写真は、精製塩(超高純度塩)と中純度塩(自然海塩)の3.5%溶液に、元気のよい、新鮮なアサリ貝を入れて、10〜20分後のものです。自然海塩の方は口や足をのびのび出しているのに対して、高純度塩では口を少しだけ出して仕方なく呼吸している感じです。

精製塩(超高純度塩)
中純度塩(自然海塩)
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