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ドクターソルトの塩百科 〜 4.成分 〜
体にいい塩ってあるの?   

地球の生命の源である海から作られた塩は、元々は体に良いものです。塩化ナトリウム以外の塩類(ミネラル)を不純物と見なし、必要以上に取り除いてしまうから、体に悪い塩になってしまうのです。
中純度から低純度がおすすめ!

栄養成分的にいうと、ミネラルバランスのとれた中純度から低純度がおすすめです。“ミネラルバランスがとれた”とは、ナトリウム以外の主要ミネラルであるカルシウム、マグネシウム、カリウムがおおむね下記の範囲内にあることをいいます。

    中純度 低純度
カルシウム 560±200mg 880±120mg
マグネシウム 735±265mg 1350±350mg
カリウム 280±100mg 510±130mg


専売法が導入される以前、塩には「真塩(ましお)」と「差塩(さししお)」の2種類がありました。真塩はそのまますぐ食用にできる高級塩で、中純度くらいでした。一方、差塩はそのままではまずくて食用にできない低級塩で、低純度から超低純度でした。なぜ差塩が作られたかというと、採塩量を増やすために、ニガリまで煮つめて歩留まりをあげたためです。

差塩は使う前に、少量ずつザルに入れたり、カマスに入れたまま放置したりして、空気中の水分を吸わせてニガリをしたたり落としていました。長く積んでおいて十分にニガリを枯らした塩を「古積塩」といい、真塩に準じて珍重されました。良質な古積塩もまた中純度くらいでした。

“昔の塩はニガリを抜いて使った”と言われているのは、差塩のことだったのです。抜いたと言っても、多すぎるニガリを調整したに過ぎず、ニガリ成分は十分に残っていました。

ところが専売制導入後、“塩とは塩化ナトリウムである”という定義のもとに、ニガリ成分は不純物とみなされ、塩化ナトリウム純度の高い塩ほど良い塩と見なされるようになってしまいました。そしてついに、ミネラル(塩化ナトリウム以外の塩類)1%以下という超高純度の塩になってしまったのです。



塩化ナトリウム以外の塩類は、多すぎても少なすぎてもいけません。では、どのくらいがちょうど良いのかというと、なかなか難しい問題です。日本食用塩研究会の研究と経験によれば、乾燥重量比で5%前後(中純度)がちょうど良いようです。常用するには多くても10%前後(低純度)までと思われます。これは、日本の昔ながらの高級塩である真塩や古積塩とも一致します。

なお、イオン膜法による塩は、たとえ塩化ナトリウムの純度が低めであっても、少量ミネラルのバランスが破壊されており(カルシウムやマグネシウムが少なく、カリウムが異常に濃縮されている)、しかも大切な微量ミネラルが排除されているので、まったくおすすめできません。



成分の見分け方

塩の成分(純度)は、商品に記載が義務づけられている表示だけでは全く分かりませんが、もし栄養表示基準に基づいた成分表示があれば、ある程度の推測はできます。


まず、ナトリウムを見てください。この数値を2.54倍すると塩化ナトリウムになります。たとえば、34g/100gなら86g/100g=86%となります。これが塩化ナトリウムの含有率です。

では100%からこの86%を差し引いた14%がその他の塩類の含有率かというと、残念ながらそうとは言えません。なぜなら、水分があるからです。特に自然海塩などの粗塩系の塩には10%を超える水分(ニガリの結晶水を含む)が含まれていることがありますので、大きな誤差が生じてしまいます。とは言え、この値がすでに1%未満だったら超高純度塩、40%超過だったら等外純度塩であることは分かります。

次に、もしマグネシウム、カルシウム、カリウムの成分値が記載されていれば、それを参考にします。陰イオン(硫酸イオンと塩化物イオン)の値がないので単純には言えないのですが、次の表を目安に大まかにとらえてください(正確には100g中の乾燥重量として)。


    カルシウム マグネシウム カリウム
超高純度 100mg未満  130mg未満

50mg未満

高純度 100〜360mg 130〜470mg 50〜180mg
中純度 360〜760mg 470〜1000mg

180〜380mg

低純度 760〜1000mg 1000〜1700mg

380〜640mg

超低純度 1000mg超過 1700mg超過

640mg超過

代表的な塩の成分(純度)

1)超高純度:
塩化ナトリウム以外の塩類が、乾燥重量比で1%未満。薬品に近い高純度で、食用には適しません。他の食物に含まれるミネラルにもよりますが、日本食用塩研究会では常用すると健康に悪影響を及ぼすと考えています。ところが、現在の日本で生産消費される塩量のほとんどは、超高純度になってしまいました(食品加工原料を含む)。

2)高純度:
塩化ナトリウム以外の塩類が、乾燥重量比で1〜3%。まだ純度が高めで、食用として常用するにはあまり適さないと考えられます。再製自然塩の多くも高純度に属し、ベターではあるがベストではありません。

3)中純度:
塩化ナトリウム以外の塩類が、乾燥重量比で4〜7%。味覚的にも栄養的にも食用として適当な純度で、調理や食品加工のあらゆる用途に常用できます。「海の精」をはじめ、昔ながらの日本の自然海塩の多くが中純度に属します。

4)低純度:
塩化ナトリウム以外の塩類が、乾燥重量比で8〜12%。純度がやや低すぎて(ニガリ成分がやや多く)、塩分濃度の高い食品加工には味覚的に難があります。塩分濃度の低い調理には常用できます。

5)超低純度:
塩化ナトリウム以外の塩類が、乾燥重量比で13〜20%。純度がきわめて低すぎて(ニガリ成分が多すぎて)食用には適しません。ミネラル補給を目的とした薬用として少量を用いるにはよいでしょう。食用としてあらゆる用途に使うには味覚的に難があるだけでなく、常用すると栄養的にマグネシウム過剰になることが考えられます。

もし海水を全結晶させた塩を毎日13g(日本人の平均塩分摂取量)摂取したとすると、マグネシウム摂取量は塩由来だけで350mgを超えることになります。これは厚生労働省が定めた1日のマグネシウム所要量である300mgを上回っており、他の食物からの摂取量と合わせると、上限摂取量の650〜700mgを超過することも考えられます。

5)等外純度:
塩化ナトリウム以外の塩類が、乾燥重量比で21%以上。海水中の塩化ナトリウム以外の塩類は乾燥重量比で約22%。これを超える低純度の塩は、塩とは言えません。減塩目的で塩化カリウムなどを人工的に混合した低ナトリウム塩を常用するには、医師に相談の上、よほど慎重に用いないと健康に危険があります。



金魚を元気にする塩は?

水道水で金魚を飼っていると、弱って早く死んでしまいます。この弱った金魚を一時的にうすい塩水に入れてやると、元気を取り戻すことが知られています。これを応用して、塩の品質の比較実験ができます。

下の写真は、精製塩(超高純度塩)と自然海塩(中純度塩)の1%溶液に、元気のよい金魚を10匹ずつ入れて、2〜3日経過したものです。生存期間の差は明白ですね。


精製塩(超高純度塩)


自然海塩(中純度塩)


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