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ドクターソルトの塩百科 〜 3.製法 〜
塩はどうやって作るの?   

海水などからの製塩法は、濃縮法と結晶法の二段階の工程に分かれます。それぞれの組み合わせで、理論的にはさまざまな製法が考えられますが、現実に採用されている製法は限られています。

天日平釜法がおすすめ!

良い塩は、地球の生命の源であり、生命にとって必要なさまざまなミネラルをすべて含む、海水から直接生産するのがベストです。

海水の濃縮方法を原理的に分けると、水分除去法と塩分抽出法に大別されます。水分除去法とは、蒸発や逆浸透膜などで水分を除くことによって濃縮する方法。塩分抽出法とは、イオン交換膜で塩分を集めることによって濃縮する方法です。

水分除去法の中では、ミネラルバランスがとれた自然海塩が作りやすく、比較的環境に優しく、伝統的に実績がある天日平釜法が最もおすすめです(その代表例が「海の精」)。また、小規模の温室式の天日結晶法もおすすめです(その代表例が「海の晶」)。


イオン交換膜はナトリウムイオンと塩素イオンを抽出するように設計されているため、カルシウムやマグネシウムなどの少量イオンが濃縮されにくく、しかも鉄、亜鉛、マンガンなどの大切な微量ミネラルが排除されてしまいます。よって、食用塩の製法としては、全くおすすめできません。

再製加工法は、原料とする塩や苦汁の成分によって大きく異なります。最も一般的な原料塩である海外の天日(海)塩は、塩化ナトリウムの純度がきわめて高く、ミネラル豊富な自然海塩を再現することはできないのです。



製法の見分け方

塩の製法は、商品に記載が義務づけられている表示だけでは、ほとんど分からないのが現状ですが、とりあえず一括表示を見てください。

 もし原材料名の欄に「海水」と書いてあって、原産国名や輸入者が表示されてないなら、純国産塩のすべての製法が考えられます。つまり、イオン膜立釜法、天日平釜法、逆浸透膜平釜法、平釜結晶法、加熱噴霧法、まれに天日結晶法です。このどれであるかは枠外の表記から推測するほかないのですが、説明がほとんどない場合はイオン膜法と見てよいでしょう。輸入品なら、天日結晶法とみて間違いないでしょう。

原材料名の欄に「天日塩」と書いてあれば、再製加工法です。枠外の説明でそれらしいことが書いてあっても、日本伝統の製法ではありません。もし「食塩」と書かれていれば、一括表示だけからはどんな製法かは全く分かりません。

*現在検討中の食用塩公正競争規約案では、製法(濃縮法・結晶法)を表示する方法が定められていますので、将来的にはより確かな情報を開示せざるをえなくなるでしょう。


代表的な塩の製法

1)イオン膜立釜法:
イオン交換膜と電力で海水を濃縮し、減圧立釜(真空蒸発缶)で加熱蒸発して結晶させる方法。イオン膜法は日本で塩田に代わる海水濃縮装置として開発され、現在も旧専売塩のメーカーがこの方式で大量生産しています。海水のミネラルバランスがこわされるので、自然海塩を生産することはできません。






2)天日平釜法:
塩田と天日の自然力で海水を濃縮し、平釜で加熱蒸発して結晶させる方法。塩田廃止後、日本食用塩研究会が復活させた日本の伝統的な製塩法で、「海の精」をはじめ、自然海塩のメーカー数社が採用しています。

3)平釜結晶法:
最初から平釜で加熱蒸発し、最後まで火力で結晶させる方法。塩専売廃止後、全国に発生した自然海塩のメーカーの多くが採用しています。燃料を大量に消費するのが難点。


4)逆浸透膜平釜法:
逆浸透膜と圧力で海水を濃縮し、平釜で加熱蒸発して結晶させる方法。逆浸透膜は本来は淡水化装置ですが、最近は海水濃縮装置としても使われるようになっています。深層海水塩のメーカーなどが採用しています。


5)加熱噴霧法:
加熱蒸発などで濃縮し、加熱した空気とともに噴霧したり、加熱した鉄板やドラムに噴霧して結晶させる方法。数社が採用していますが、ニガリ分の調整が難しい。


6)天日結晶法:
塩田で海水を濃縮し、最後まで天日で蒸発して結晶させる方法。海外で多く用いられています。泥砂や塵埃が入るので、そのままでは食用にしにくい。天日塩田は日本では気候的に難しいのですが、日本食用塩研究会が開発した温室式天日結晶法によって、「海の晶」をはじめ数点の国産の天日(海)塩が実在しています。

7)再製加工法:
天日(海)塩や岩塩などの原料塩を溶解し、加熱蒸発して結晶させる(再製)か、原料塩を溶解しないで、洗浄や乾燥や粉砕のみする(加工)方法。現代では、日本を含む先進国の市販塩の多くがこの方法を採用しています。



天日塩はミネラル豊富?

広大な塩田に海水を導き、何年もかけて太陽熱と風で濃縮して作られた塩と聞くと、何かものすごく自然ないい塩のような気がしますよね。ところが、こうして作られた天日塩は、(塩化ナトリウム以外の)ミネラルをほとんど含んでいないのです。

意外にも、大量の海水を、長い期間かけて、静かに結晶させると、ミネラル=塩類の結晶濃度が異なるために、岩塩と同様に各塩類が層状に分離して結晶します。しかも塩化ナトリウムの結晶期間が長くなり、純粋な塩化ナトリウムの結晶として成長し、他のミネラルが結晶内に入ることを排除してしまうのです。

実際の天日塩田では、蒸発池でカルシウム塩を結晶沈殿させて除き、塩化ナトリウムが飽和になった上澄み液を結晶池に移します。すると、ほとんど純粋な塩化ナトリウムがどんどん結晶します。そして、ニガリ成分(マグネシウム塩やカリウム塩)が結晶する前に、ニガリ液を排出して塩=塩化ナトリウムの結晶を採取します。これを塩水で洗浄することによって、さらに塩化ナトリウムの純度を高めるのです。こうして、製法は自然的であっても、成分的には不自然に高純度な天日(海)塩が生産されるのです。



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